「うちの子、いつも丸のみしている気がする」
「前歯でかじり取らず、口に入れてグニュッと潰して飲んでしまう…」
そんな不安を抱える保護者の方はとても多くいます。
実は“前歯で食べ物をかじり取ること”は、
離乳食後期〜幼少期にかけて お口の発達の基盤になる大切な動作 です。
もしこの時期に前歯でかむ経験が不足すると、
歯並び・顎の成長・食べ方のクセ・姿勢・発音にまで影響が広がることがあります。
今回は、「なぜ前歯でかむことが大切なのか?」「できないと何が起きるのか?」を
小児歯科の視点からわかりやすく解説します。
前歯で“かじり取る”ことは、実は高度な運動
離乳食後期~1歳半前後に育つべき「前歯で噛む力」は、単なる食べ方ではありません。
この動作には、
唇を閉じる力 上下の前歯で食材を挟む力 舌で食べ物を運ぶ力 下あごを前後に動かすコントロール
こうした 口腔機能の総合運動 が必要です。
つまり前歯でかめる子=
唇・舌・あごがバランスよく育っている子 ということ。
逆に前歯を使わず丸のみが続く子は、
この土台が十分に育っていない可能性があります。
前歯でかめないと起こりやすい5つの問題
① 奥歯で“つぶすだけ”の噛み方になり、歯並びが乱れやすくなる
前歯を使わず、最初から奥歯でつぶす食べ方が習慣化すると、
下あごが後ろに引けがちになる 舌の動きが前に出ない 顎の横幅が育ちにくい
などの影響で、
出っ歯 デコボコの歯並び 受け口気味 上顎が狭い(口蓋が高い)
といった将来の歯列不正につながることがあります。
幼少期の「食べ方のクセ」が、
そのまま 顎の成長のクセ になってしまうのです。
② 丸のみ習慣による“誤嚥・むせ”のリスクが高まる
前歯でかじり取らず、食材を大きいまま飲み込むと、
むせやすい 喉に詰まりやすい 食事に時間がかかる 食べることが苦手になる
といった問題が起こりやすくなります。
嚥下の発達が追いつかないまま食事が進むため、
「食べること自体が負担」になりやすい状態です。
③ 鼻呼吸が育たず、口呼吸・ぽかん口になりやすい
前歯を使ってかじると、
唇を閉じる 舌が前に運ぶ 下顎が前方に動く
といった動きが自然に促されます。
しかし前歯を使わない食べ方が続くと、
唇の閉じる力が弱い 舌が低い位置のまま 口がぽかんと開きやすい
= 口呼吸が定着しやすい環境 をつくってしまいます。
口呼吸は
歯並びだけでなく、いびき・風邪・集中力にも影響します。
④ 舌の動きが育たず、飲み込み方にクセが残る
前歯でかめない子の多くに見られるのが、
舌が前に出る 舌が上に上がらない 押しつぶすような飲み込み
といった「間違った嚥下パターン」です。
このパターンが続くと、
出っ歯 開咬(前歯が閉じない歯並び) 発音のクセ
などの原因になることがあります。
⑤ 姿勢が崩れやすく、食事全体が不安定になる
前歯でかじる力は、
体幹(姿勢)と強く関係 しています。
前歯を使えない子の特徴として、
体が左右に揺れる 椅子にまっすぐ座れない 顎を引けず、前かがみになる
など、姿勢の問題を併発していることも多いです。
姿勢が安定しないと食べ方も安定せず、
悪循環が起こりがちです。
ではどうすれば「前歯でかめる子」に育つのか?
以下は家庭でできる“簡単ですぐ始められるポイント”です。
✔ 食材は「前歯でかじり取れるサイズ」にする
→ ただ小さく切るより、前歯でひとかじりできる大きさが理想。
✔ すべて柔らかくしすぎない
→ 「噛む経験」が育つよう段階的に食感を上げていく。
✔ 姿勢を整える(これがとても重要)
足がしっかり床につく テーブルと椅子の高さが合っている 前かがみになりすぎない
✔ 食具の扱いをサポートする
スプーンで口に運びすぎると、
「自分で前歯を使う機会」が減ってしまいます。
小児歯科でできるサポート(専門家が確認すべきポイント)
はぎわら歯科こども歯科クリニックでは、
前歯で噛めない原因の評価 舌・唇・頬の筋肉の機能チェック 飲み込み方のクセの評価 姿勢と口腔機能の関連 必要に応じたMFT(口腔機能トレーニング) 栄養士・保育士と連携した“食べ方育成”
を行い、
「その子が前歯で噛めるようになるための土台づくり」を支援しています。
特に鴻巣および近隣の市町村からのお子様の受診で
口呼吸・姿勢・食べ方の相談が年々増えており、
早期に気づくことがとても大切です。
「前歯でかめる力」は、生涯の食べ方と歯並びの基盤
離乳食〜幼少期に育つべきこの力は、
顎の成長 歯並び 呼吸 発音 姿勢 食べることの楽しさ
すべてのスタートラインになります。
「これって前歯で噛めてないかも?」
「丸のみが心配…」
そんな段階でも構いません。
気になるサインがあれば、
どうぞお気軽に当院へご相談ください。
小児歯科学会認定医として、
お子さんの食べ方の“今”と“未来”を一緒に整えるお手伝いをします。

