「乳歯はいずれ抜けるんだから、多少の歯並びは気にしなくてもいいですよね?」
「永久歯になってから考えれば大丈夫ですか?」
子どもの歯並びで最も多い“誤解”がこの質問です。
結論から言うと、
乳歯の歯並びは「将来の永久歯の並び方」を大きく左右する非常に重要なサインです。
そして、乳歯列期の状態によっては
早めの対応や生活習慣の見直しが必要な場合があります。
今回は、小児歯科学会認定医として「乳歯の歯並びを気にするべき理由」をわかりやすく解説します。
なぜ“乳歯の歯並び”が大切なのか?
乳歯は単なる“仮の歯”ではありません。
実は、
永久歯が生えるスペースを確保する 顎の成長を誘導する 噛む力や舌の動きを育てる 飲み込み方や呼吸に影響を与える
といった、生涯に関わる大きな役割を持っています。
つまり乳歯の歯並びは、
「永久歯の歯並びを決める設計図」 と言えるほど重要なのです。
気にしなくてはいけない“乳歯列のサイン”とは?
乳歯が生え揃った3〜6歳ごろに、次のような状態が見られると要注意です。
1. 乳歯なのにすでにデコボコがある
本来、乳歯列は
歯と歯の間にすき間(発育空隙)がある 横幅に余裕がある
状態が正常です。
乳歯なのにガタガタしている場合は、
永久歯が生えるためのスペースが足りていない強いサインです。
永久歯は乳歯よりも大きいので、
「乳歯がきれい=永久歯はもっときれい」ではなく
「乳歯がデコボコ=永久歯はもっと並ばない」が正解です。
2. 前歯が閉じない(開咬)
指しゃぶり、舌癖、口呼吸が背景にあることが多く、
食べ物を噛み切れない 飲み込み方が悪い 発音に影響する
など機能面にも問題が出やすい状態です。
永久歯に生え変わると自然改善する例はありますが、
原因が残っている場合はそのまま開咬として残る可能性が高いです。
3. 受け口(反対咬合)
乳歯の受け口は、
下顎の成長が強いタイプ 舌癖や口呼吸によるバランス不良 遺伝的な傾向
など原因が複数あります。
放置すると、
永久歯列では改善しづらいケースが多いため、
早期評価が特に重要な歯並びです。
4. 口呼吸・口がぽかんと開きやすい
乳歯の歯並びだけでなく、
顎の成長 歯列の幅 舌の位置 姿勢
に大きく影響します。
口呼吸が定着すると、
将来的に出っ歯・ガタガタ・上顎の狭窄が起こりやすくなります。
「永久歯になってからでいい」は危険な理由
乳歯列期に起きている問題は、
10歳以降では“取り返しがつきにくい”領域が多いからです。
顎の成長ピークは、男女ともに小学生〜思春期まで 上顎の横幅は特に低学年までが伸びやすい 生活習慣(舌癖・口呼吸)が早期に固まる
つまり、永久歯になってからできる矯正は
「歯を並べる作業」が中心で、顎の成長誘導や機能改善は難しくなるということ。
小児矯正の強みが最大限に活かせる時期は、
実は “乳歯列〜混合歯列前半”なのです。
放置すると起きやすい将来のリスク
乳歯列の問題をそのままにすると、
永久歯の重度の叢生(ガタガタ) 出っ歯・受け口 顎が小さく狭い歯列 口呼吸・いびき 発音の問題 嚥下(飲み込み)のクセの固定 矯正が長期化・費用が高くなる可能性
など、生涯にわたる影響を残すことがあります。
小児歯科でできること:乳歯列期こそ「成長」を味方にするチャンス
当院では、乳歯列の状態から
顎の成長方向 歯列の幅 舌の位置・癖 呼吸の状態 姿勢・食べ方 将来の成長予測
を総合的に評価します。
必要な場合は、
舌・口周りの機能訓練(MFT) 習慣改善のサポート 顎の成長を促す小児矯正 栄養・姿勢の指導 永久歯交換期のフォロー
を組み合わせ、その子に合った成長支援を行います。
特に鴻巣および近隣の市町村のお子様の受診では、
「小児矯正を早めに相談すべきか迷っている」という声が多く、
乳歯列のチェックがとても有効です。
まとめ:乳歯の歯並びは「ただの一時的なもの」ではありません
乳歯はいずれ抜けます。
しかし“抜けるまでの役割”は想像以上に重要です。
顎の成長を誘導する 永久歯のスペースを作る 舌・呼吸・飲み込み・姿勢を育てる
これらすべてが、
将来の歯並びと健康に直結しています。
「気になるけど様子を見ていいのかわからない」
そんな段階でも構いません。
はぎわら歯科こども歯科クリニックでは、
小児歯科学会認定医として
その子の“今の状態”と“未来の成長”を丁寧に評価し、最適なタイミングをご提案します。
どうぞお気軽にご相談ください。

